• 2015.04.26 Sunday
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第二十四話 女
コノ物語は
性的表現、グロテスクな表現などを含む上に
作者(背後及び代理背後)の
自己満足によって構成されています。
物語を読んだ事によって
暗い気分に陥ろうが
死にたい気分になろうが
腹が立ってこようが
作者(背後及び代理背後)は一切 関与しません。
続きモノな割に、間が可也あいてしまったので
前話を読みかえす事をオススメします。


上記を了承した方のみ
物語をお楽しみ下さい(一礼
」」」

― 何故 風と成せんッ!!

叱責に番人達は身を縮こませる

白地にグレーの鬣
黒筋の文様を持つふた周りも大きな狼は
苛立たしげに牙を剥いた

― 禍人、森を統べ既に二年……
未だ 我らは森を戻せず在る……


憤慨を番人達は静かに聞く

確かに
彼の青年の縄張りに入った者達は
すべからく追い払われる

しかし と 番人達は心中で付け加える

青年は 刃向かわない者に危害を加えない。

飢えた仔狼に肉を分け与えた事もある程だ

番人達は思う

果たして 本当に彼の青年は「禍人」なのか

本当に 彼は 死を降らせるのか

確かに先代 森の王は風と成った

しかし 先代森の王は
いつ死んでもおかしくない程の高齢だったのだ

もし 彼の青年の存在が
森の王を生き長らえさせていたとすれば…

『禍人』の意味合いは180°変わってくる

― ……………。

自分達は 従うべき者を誤ったかもしれない。

鮮やかな存在の憤慨を遠くの事のように聞きながら
番人達は静かに 怒りが静まるのを待っていた。

」」」

遠くの意思に耳を傾け
青年は樹上を疾駆する。

巨狼を失った当時
まだ未熟であった青年が生き残るには
番人の牙の届かない樹上が都合が良かったのだ。

視界も広く森の中なら移動に事欠かない

果樹なら食事にも困らず水樹なら渇きも癒せる

攻防に優れた場所である。

そして

―――…ダレカイル…

ざわざわと騒ぐ樹の意思に耳を傾ければ

―――…ダレカキタ…

情報の宝庫であった。

ヴゥルルルル
― …誰だ……

―――…ダレカキタ…

樹の示す意思の方向へ
鼻先を向ける

― …ニンゲン……

気配を捉え
樹上を駆けだす
長く伸びた鬣は枝にかかる事無く
重力に従い靡いた。

」」」

狼の声がする
遠くではあるが恐怖があった

その人間は
背に届く髪を揺らし足早に森を通る

ウェーブがかった漆黒の髪
人間は女である

―― ……不気味だな…。

薬草を手にして駈けるが
何かにつけられている気がしてならない

肩越しに後ろを見ても誰も居ない

しかし 確かに気配はある

――― ルルルルル。。。

喉奥で唸る声

間違いない

つけられている

―― ……。

しかし 何処にも居ない

狼でなければ何なのか

――― ルルルルル。。。
― 去れ……

うなり声は意思を持っているのは解るが
何を意味するのかはわからない

――― ルルルルル。。。
― …去らぬか……


意思は明確な殺意を孕み始め
恐怖に身が竦む

ヴァルルル………
― 侵入者…


近くなる気配に足を止めた瞬間

――― ザッ!!

眼前の一寸先を
何かが掠めた

「……っ!!」

パラパラと前髪が数本落ちる

あと 一歩踏み出していたら危なかっただろう

「……………。」

冷や汗が頬を伝う

グルルルル……
― 其、この地に何用か……


びくりと緊張状態へ

新種のモンスターだろうか……

近い唸り声に視線を上げる

―― ………ぇ…?


グルルルル………
― 我が縄張り 何人たりとも犯すを許さず



上半身背を完全に覆う髪伸びる褐色の手足

―― ……ひ…と……?

しかも、恐らく男だ

― 去れッ!
グガァァァッ

―― やっぱり 人間だ……。
   あれは尻尾……?…ストライダー……?

意思を読むことのできない女は
唸る灰色ストライダーに首をかしげる

彼の警告など わかるはずもない

―― …………。

その場で静かに膝をたたんだ


グゥルルル。。。
― ……去らぬか…


「……おいで。」

― …………?!

「大丈夫だ……傷つけたりしない……おいで。」

その場にしゃがんだままで
女は手を差し出す

グゥルルル

警戒剥き出しで見つめる灰ストライダーに
信頼させるよう 笑みを浮かべる

よくわからないが
獣が人を襲うのは縄張りへの侵入以外に
恐怖からと言うのがある

即座に攻撃に移らない所を見ると
彼は恐らく後者なのだろう

なんとなくだが
彼は無闇にヒトを傷つけたりしない気がしたのだ

グルル。。。

一方、彼も
女の目に浮かぶ意思に懐かしい感情を覚える

一体何の感情だったのか……
思いだそうと自問自答を繰り返していた



―5分が経過した

双方動かない

ルルルルル。。。
― ……何者だ…?


害でないと判断したのか
ゆっくりと にじり寄る
灰ストライダー

女は微動だにせず 笑みを浮かべている

―――ふんふん

首を伸ばし
鼻を鳴らして
指先の匂いを嗅ぐ

甘い
浮かぶような
いい匂い

感じたことの無い何かに戸惑う

「……大丈夫だ…。」

見つめる

笑みに細められた琥珀色の瞳

― ……………。

腕 肩 首筋 匂いを嗅いでいく

女はされるがままだ

「………ぁ…。」

至近距離

青年の鬣の隙間から女と目があった。
黄色に見えた女の瞳はよく見れば茶けても見える
見開かれたソレは意外に澄んでいて
敵意の無いことを示している

「おまえ…目…綺麗だな…////」

鼻の触れ合う至近距離
すこし目を逸らした女

自分の優位を確信し
灰ストライダーは興味を次に移した

声を発する
柔らかそうなそこ

―――ぺろっ

「……………………………?!/////////////」


硬直

― ……甘い…

舐めた唇を今度はぱくりと口に含む

「……?!?!?!////////」

混乱する女に構い無く
思った通り甘く柔らかい唇を舌先で弄んだ

「!!///////」

後ろにバランスを崩し
仰向けに倒れる女

ルルル…
― …服従…示すか…


それは大いなる勘違いだったのだが
驚きのあまり動けない女にそれを示す余裕は無い
喉元を舐められ息を飲む
同時にぞくりとナニカが背中を駆け抜けた

鼻先は体をなぞり

やがて胸をつかんだ

「はンっ/////」

―――ドンっ

突き飛ばされ

驚き距離を取る灰ストライダーに女は胸を庇うように手を当て飛び起きる

「――ッ、何処触ってるんだッ!/////バカッッ///////」

目は潤み頬は高揚して砕けた腰を押さえ
ぺたりと座ったまま怒鳴る姿

迫力 皆無

― ……なんだ…?

よくわからないが怒っているらしい

― …。今回は見逃そう…………。

ぎゃぁぎゃぁ騒ぐ女にうんざりと背を向ける
敵意は無いのだから捨て置く事にしたのだ

「コラッッ!待てッ逃げるなぁぁぁッ////!!!」

去る 灰ストライダーの背中を睨みながら

女の砕けた腰は
いつまでも立ち上がることが出来ずにいた
  • 2015.04.26 Sunday
  • 08:47
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